わたしはすべての会社にキャリアコンサルタント(ちゃんとできる人ね)がいてほしいと思っている(社員でも外部委託でもいいので)。そして社員一人一人のキャリア自律のサポートをするのだ(と、国家資格化した意味がそこにある)。
上司も部下も役員も社長も、適切で安全な「壁打ち相手」や「鏡」がいるってすごく大事。そういう仕事をするのが、キャリアコンサルタントなのだ。国家資格化されてから、カウンセリングよりコンサルティング要素が増えたこともあり、コーチと重なる部分が増えてきているとわたしは思っている

で、本題。
いったい誰がキャリアコンサルティングの対象なのか?それで何がどうなるのか?

よくある誤解その1
「転職する人が相談するんだよね?」
転職相談ももちろんあるけれど、人材エージェントやハローワークでなければどっちかというと少な目。それに「転職したい」という気持ちでいたとしても、本当の課題は別のところで見つかることも。

よくある誤解その2
「仕事のことしか相談できないんだよね?」
キャリアって仕事じゃなく「人生そのもの」。キャリア理論の大家、ドナルドスーパーは人生の役割を「家庭人」「子」「趣味人」「仕事人」「学ぶ人」「地域市民」とし、その組み合わせとプロセスがキャリアであると唱えている。人生の中でそれぞれの役割の中に課題がおこり、関わりあって影響を及ぼすもの。それらはすべてキャリアの課題。
そもそもみなさんの毎日に、仕事とそれ以外が完全に分断できているだろうか?いろんな要素がつながっているのが人生だから「仕事のことしか聞けません!」なんてあるわけないよね。

よくある誤解その3
「なんか叱られるの?」
たまに転職相談で叱られたなんて話は聞く。
そもそもキャリアコンサルティングの主役は相談にきたみなさん。不用意なアドバイスも一方的なダメ出しも一切しない。基本は「相談者さんが選びたい未来を、どう一緒に探っていくのか。」だからね。そして耳の痛いことを言う、というより、聞いているうちに「あ・・・」と本人が自分で気づく、のほうだから。

よくある誤解その4
「若い人や学生が相談するんでしょ?」
キャリアは生涯発達するのだ、っていうのがキャリア理論の世界の常識。エリクソンは90代になっても晩年の人のキャリア発達を研究し続けていた。わたしは50代だけど、20代とは違う課題を感じながら日々を生きている。本人が誰かに相談したいと思ったら、それが相談するタイミングなのだよ。

よくある誤解その5
「聞いたらいろいろアドバイスしてくれるんだよね」
必要な情報提供はします。ただ「AとBとどっちがいいと思う?」みたいなことのアドバイスはしない。わたしが選びたい道や正解(ないけど)をお伝えすることもない。ときには凄い専門家(わたしにはわからない世界の)がお越しになることもあるけれど、それでも話が聞けるのは、「答えは相手の中にある」からなんだよね。
ただ、ごちゃっとなった課題を一緒に整理すること、ご自分の気持ちと感じている制約を言語化したり、見えなくなっているほんとの課題を一緒に洗い出したりをしていくなかで、ときに「それには~な視点がありますね」「そこで〇〇するという方法はあります」みたいなことは伝える(多分、わたしは同業者の中ではコンサルティング多め)。でも、あくまでそれはとことんお話を聞いて一緒に整理したあとのこと。

よくある誤解その6
「何を相談するのか整理してからじゃないと、行けない」
…それをするのがわたしたちの仕事です(笑)。だからよくわからないけど来る、でOK。へんに頑張って整理して辛くなっちゃう人もいるので、これはほんとに強調したい。

というわけで、たとえばこんなテーマがよくありますよ。

・就活の方向性を見失った、もう就活やめたい(大学生)
・上司の指導に不満。この人についていけない(30代)

・部下の育成方法がわからない。部下と合わない
・会社の将来性が不安。このままでいいのか(40代)
・職種が変わって、やり方がわからない(20代)
・スカウトされて迷っている。2社のどちらが将来性があるか(40代)
・リストラ対象になった。この際起業したいが何からやれば(40代)
・どこに行っても人間関係でつまづく。この先どうすれば(30代)
・夫の転勤で中断してしまった。もう一度社会に出たいが(40代)

ほかにも、さまざまなハラスメント、子育てと仕事、親や地域との関係性、新しい仕事の方向性は?、自分の強みを見つけたい、起業したけど事業をどう広めるか、はたまた特に悩みはなくとも定期的に自分の方向性を確かめ修正するために来る方もいる(上手い使い方です)

独身、既婚、会社員、公務員、専門家、起業家、学生・・・いろんな方とお会いしています。
また、会社と契約してその会社の中の人のキャリア面談を上司の代わりにしていたり、社長の思考整理のお手伝いをしたりも隠れた人気です。

何より大切なことは
必ずあなたの秘密は守るということ。相談を受けているということも表には出しません。これはもう、ほんとうに厳密にお約束します。

キャリアコンサルティングを受けるというのは、まだまだ新しい習慣で、ほとんどの人が未経験のこと。そしてどこの誰に聞いたらいいかもわからないし、そもそも「わたしのこの悩みは対象なのか」と迷う人が大半(みなさん、そういってお越しになる)。
もちろん、お医者様との相性があるように、キャリアコンサルタントとの相性もあるでしょうから、わたしのところに来なくても大丈夫。

ただ、こういう人が世の中にはたくさんいて、一人で悩んで動けなくなったり「しょうがないよね」とあきらめてしまう前にぜひ、利用を検討してみてほしいなと心から思います。