最初に断っておくが、ほんとは男性にも同じキャリア課題はある。じゃあなぜ女性に、と書くのかは後で説明しますね。

働く女性がマジョリティになり、個人差はあるけれども頑張って成果をだして、男性と何らそん色なく(といういい方も嫌だけど、人数の問題ね)働くことが当たり前になってずいぶん経つ。2000年以降本格的に働く(腰かけではなく)女性が増えたということで、今や管理職候補、チーフとか主任と言われる層のボリュームもかなり増えた。普通になった、って感じ。

わたしのところに相談に来てくれる30代半ばから40代前半の女性たちには、そんな人も多い。もちろんママもたくさんいる。

こんな人たちね↓

★仕事で成果を上げているし、あげようと努力する
★仕事に対して常に意欲的に取り組んでいる
★必要ならば上司にも正面からぶつかり突破できる
★部署を越えて利害調整や交渉もやっていく
★新たな課題を解決するために、挑戦することをいとわない
★夫やその他の支援をうまく組み合わせながら自律的に時間を使える

こういう人たちが何にぶつかるのか。こんなに無敵に思える「働くことを楽しんでいる」人たちなのにと皆さん思うだろうか。でも、こういう人だからこそぶつかるキャリア課題があるのだ。成長の階段だともいえるのだけれど。

この人たちは上司や力のある人、自分と同じように仕事に意欲的に取り組む人を巻き込む、交渉する、要求することは得意だが、ひとたび自分が部下や後輩を育成しながら巻き込む立場になると、途端に壁に当たることが多い。たとえばこんなふうに嘆く。

★部下が仕事の成果にあまり意欲を示さない
★部下はつねに細かい指示を欲しがって受け身だ
★部下は自分の言葉に過剰に反応するか、黙り込み、意見を言わない
★部下に任せると、ちっとも物事が動かない
★新しいことを提案しても部下は面白がらない
★いつも誰かの都合や誰かのせいにしているように見える

「部下のやる気を出させるためにどうすれば?」「いっそ自分でやったほうが早い」「なんで意見を言わないの?」「仕事なんだからちゃんとまずはやり切ってほしい」「わたしには無理です、ってすぐに言うんです!」
…ってね(笑)

自分でやったほうが何倍も速いし、イイモノができるのにー!と思いながら、一方で自分の上司には「もっと部下をうまく使え」「お前が全部やるな」「育てるのも仕事だ」「早く成果を出せ」と言われてしまう。
あまりにうまくいかないので自分の能力さえも疑いたくなり、悩んでわたしのところにやってきて、「人間関係に悩んでいます」とか「私、この仕事向いていないと思います」とか「もともとそんなに(自分は)仕事が出来てたわけじゃないのかもしれない」と言い出す。
(ちなみに女性は自分の力を低く見積もる傾向があるという研究結果もありますよ)

落ち着こう。大丈夫。ここからだよって言いたい。byバーチャル上司のわたし

でね、実際男性だって同じことが起きている。名プレーヤーが名リーダーにはならない、優れた営業マンが優れたリーダーには必ずしもならないように。

 

でも、リーダーや管理職をやっている男性は山ほどいて、その手前のプレーヤーにもいろいろな種類の人がいて、ずば抜けて優秀だからリーダーになった、というわけじゃない人もたくさんいる。そして管理職像も様々に多様なスタイルのモデルがいる。女性よりは多少「どうやって教えるのか」なんてことを聞ける機会と種類と環境には恵まれている。

 

加えて、この世代は子育て世代も多いので、女性のリーダーはいつも時間が足りない。リーダーや上司としてのマネジメントスキルを盗んだり、教わったり、雑談の中から仕入れたりするよりも、まずタスクをこなし結果を出すことに優先順位が高くなりがちでもある。

会社ではリーダー研修やマネジメント研修は多く実施されているはずだが(わたしも昔受けたけれど)そこで聞くことは基礎であって、現場の「あの人にはどうすれば?」のやり方がわからないし、試行錯誤している時間が持てないのかもしれないね。

だったら、マネジメントの基礎を知り、現場の課題を出し合い、アイデアをもらい、現場でやってみてふりかえる、そんな流れでトレーニングしあうことが必要だろうと考えているのです。

 

そろそろ女性の皆さん向けのキャリア支援も「ただ前向きに継続して働くため」や「まずは管理職になろうよ」って言うだけじゃなく、なったあとに、さらに影響力のある仕事をするための支援を増やしていく必要があるよねってことを、強く勝手に使命感を持っているわたし(だから勝手にバーチャル上司を名乗る♡)

…まあほんとに男女関係ない話なのですが、ほんともったいないので、ぜひキャリアコンサルタントをこういう場に置いてみませんか?