少し前に、過激な新入社員研修が原因で参加していた新人が自殺したというニュースが出ていました。
たいへん衝撃的なニュースであったと同時に、悲しく残念な出来事でした。
多くの一般の方が「こんな研修をしている会社って何?」「いまどき、こんなのあるのか?」とコメントをされていましたが、わたしは「まだ多くあるだろうな」と思いました。
ここで期待される効果を評価する組織があることは事実だからです。
・学生気分を吹き飛ばしてもらいたい
・自社の社員として覚悟をもってほしい
そんな狙いと共に
・これまでの生ぬるい生き方を改め、会社の文化や上下関係にきちんと染まってほしい という狙いがあります。
それが少し行き過ぎると、先般の研修のような「内面に土足で踏み込み」「本人の意識を作り変える」ような心理的操作をプログラム化している、そんな乱暴な研修を、心理操作を知り尽くした講師が(副作用を考えずに)やってしまう、ことになります。
「見違えるほどしっかりした」
「社員の目の色が変わった」
そんな変化に「この研修はいい!」と思う職場があるから、こうして問題のある研修がいつまでもなくならないのだと思います。
ここにあるのは何か。
それは(別に悪意のある狙いではなく)「組織社会化」というプロセスです。
新しいメンバーが、自組織になじみ、組織の規範を理解し、組織の一員になっていく
そのプロセスは当然、必要なことであり、誰も否定する人はいません。
部署異動でも必要なことですし、プログラムの有無にかかわらず、わたしたちは皆、多かれ少なかれこのプロセスを経て組織の一員になっています。
現実にはこのような研修という方法を使って行っている会社が多いわけではないと思いますが、でもまだ、このような「イニシエーション」のような研修を好む職場があるのも事実です。残念ですが。
しかし、このような促成栽培的な過激な研修で、ほんとうの意味で自社の社員が戦力化するでしょうか。
そこには疑問しかありません。
社員がイキイキと主体的に、かつ、自社の利益に資する働きができるかどうか、そのためには組織社会化は必要なプロセスですが、いきすぎた組織社会化は「社員のたこつぼ化」を招くものです。
お互いが内向きになり、お互いが評価を気にし、上を見て、指示を待つ・・・それは、一番避けたいことです。
そんな組織に持続可能な成長は望めないでしょう。
一体感、という名のもとに「はみ出さない」「異論を言わない」となっていませんか。
そんな組織からは「うちの組織の社内の活力をあげたい」「もっと提案する社員を育てたい」という課題が出てきています。
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