女性活躍推進は、会社によって組織によって課題も達成状況もグラデーションで一概にどうこう言えないのですが、原理原則は案外シンプルなものだと思っています。

ダイジなことは、結婚・出産などライフイベントが起こる前は、男女問わずきちんと仕事をやらせる(任せる)こと。
特に女性には、早い段階でのストレッチ(背伸び)体験をさせることで、仕事への本気度を高めること(早期育成、早期ストレッチ、早期リーダー体験)が重要となってきます。なぜなら、ゆっくり育てていると「仕事の醍醐味」味わう前にライフイベントに突入してしまい、仕事へのモチベーションを育てきれないからです。もちろんライフイベントに際しては、十分なケアの体制を作りつつ、女性を画一的に扱わないことはいうまでもありません(ペースダウンしたい人、変わらず働きたい人など)ことが重要でしょう。ここに力を注がないまま「ケア対策」だけを整えてしまうと、なかなか人材育成につながりにくくなります。

と同時に、育休後の女性に対しても、時短利用者=補助業務、仕事では半人前でいいよね、という判断をするのではなく、あげた成果を見るようにすることや、期待を伝え正しく評価することがたいへん重要です。
その際の上司の求められる役割は、部下の能力や意欲に応じた適度に難しい仕事の任せ方を考えること。当事者の声を聴きながら、「育成の視点」で適切な期待を伝えることです。制約があるから使いにくい、制約があるから優しくしておこう、というやりかたでは、ほんとうにやる気のある女性ほど気持ちを落とすことになっていきます。

上司がそのマネジメント力を付けることは、女性活躍推進の課題解決というわけではないことも、お気づきかと思います。今や男性にもさまざまな理由で、ペースダウンが求められる場面が増えています。それもでペース配分を変化させながら、その人材をどう活かしきるのかを考えることで、平等性は担保されます。まず、その「成果をどう評価するか」、その軸をつくり、適切な機会を与え評価を出来る上司力を備える必要があります。決して、「長時間働いている」=「がんばってる」ではないことは、いうまでもありません。

そのためには、上司は部下の、部下は上司との対話を省略せず、制度が活かせる人間関係を構築することからスタートしたいものです。こうしてまとめていくと、ものすごく当たり前のシンプルな話になってしまうのですが、だからこそ「シンプルだけど、そうはいってもむずかしいんだよね」、というお話になってきます。

それでももはや、女性活躍推進については後戻りできない状況になりました。どうせやるのであれば、経営戦略として本気で位置づけし取り組もう、とされている会社はすでにさまざまに成果をあげています。やるのであれば、「今!」より早い時はないのです。