社員のキャリア自律とは何か?

「若いうちに自分の人生やキャリアを決めろ」という仕組みではなく、試行錯誤しながら生涯にわたって人生や仕事、キャリアのあり方を考え続けるプロセスである(「21世紀のキャリア論」)

世の中の変化は想定外に早く、企業のビジネスモデルもどんどん変わっていく、となれば、同じ職種であっても「求められる能力や専門性」が変化するのは当然のこと。
「自分は会社に言われたとおり、言われた仕事をやっている。周りの変化など知らないし、与えられた教えをやりますよ」そんな社員がいいのか、
「自分の担当業務もお客様に求められることがずいぶん変わってきた。そこに対して今、自分は足りない力があるから学ぼう」そんな社員がいいのか。

そして、そんな社員がいたとき「馬鹿なこと言ってないで、とにかくやれ」という上司がいいのか「お前の言う〇〇について、もっとがんばってみろ」という上司がいいのか。

どちらの組織が持続可能なのでしょうか。

 

そんなことの背景を深く考えさせられる本があります。

「21世紀のキャリア論」高橋俊介氏 著

読んでいない方には、ぜひお勧めしたい本ですが、この中でこんなフレーズがあります。

日本企業が伝統的に強みとしていきた、いわゆるタテ型のOJTばかりであれば、想定外変化や専門性の細分化深化に対応できないだけでなく、ビジネスモデルや事業構造の変革への抵抗勢力を増やすだけである。

わたしは研修でお会いする人事の方に、こんな話をされることが時折あります。
「ミドル社員が変ろうとしないんです」
「45歳以上の社員に、新しいことを学ぶ姿勢をもってもらいたいのですが」

それはなぜかといえば、当然ながら、会社は変化に対応して生き延びていくものであり、社員に求めるものも同時に変化していくからです。

しかし、これまでの多くの企業の中に「社員のキャリア自律を支援する」という考え方が欠けていたという点もあるのではないでしょうか。

素直で、言われたことを全うしていく「扱いやすい社員」を良しとするのではなく、「自分の頭で考えて、時にははみ出して動ける社員」を支援することが、長い目で見ると「社員と会社のwin-win」につながるのだと思います。

ぜひ、ご一読ください。