新入社員のみなさんが、ピカピカな時期。
あちこちの新人研修から聞こえてくる話からも、
去年の2月に内定者研修をやったときも思いましたし
毎年2・3月に「新人ふりかえり研修」なんかをしているときにも思うのですが
いや、公務員をしていたころにも、よく感じたのですが

なんで、こんなに優秀そうに見える(実際研修場面では優秀)女性たちが
10年後に「管理職とか言われても困ります」になるのだろうか?
(全員が、じゃないですよ、もちろん)
そして、新人のころに「少々ぼんやり」な男性たちが、
だんだんキリっとしてくるのか。
女性活躍推進…っていわれてもさ「女性は管理職になりたがらないんですよ」という人事の方の嘆きを伺うたび
いったいあの「優秀な人たち」はどこに行ってしまったのだろうか?
…と。
要因はいくつかありますよね。
でも、一番大きいと思うのは、乱暴にいうと
「職場の期待に適応してきたから」です。
今や、配属に男女差は少なくなっています。
そこそこの規模の会社なら、あらゆる部署に女性は配属されていて
男性と同じ仕事を任される機会も当たり前になってきています。
そう、みかけだけは。
でも、そこにわずかな「手加減」や「見えないカリキュラム」が埋め込まれています。

職場では・・・
女性にはそこまで無理をさせるのはなあと思う
女性だからある程度のところまででしょうがないと手加減する
女性はやっぱり細やかなことをしてもらうほうがいいよねと決めつける
女性には家事もあるから配慮しないとね
「そんなに仕事ばかりでダンナがさみしがるよ」と気を使う

いっぽうで
男なら若いうちはこのくらいやって当たり前だ
男の部下は将来を考えて挑戦させていかないと
男はとにかく現場で鍛えよう
男なんだから言われるまえに考えて動けよ
男だからそろそろ、責任の一つも持たせていかないと

という場面は「言葉に出されなくとも」ほんとうにたくさん見聞きしてきました。
もちろん、わたしが最初に就職したリクルートでは、ほぼなかったのですが
当時取材先でも、男女同待遇のはずな公務員として働いているときも、
独立後さまざまに出会った企業でも、個別コンサルで見聞きする話でも
どこでもほぼ、「見えないカリキュラム」が隠れていました
それはある種の「優しさ」「配慮」として
一定世代の男性の持つ「無意識なバイアス」として厳然と存在しています。
もちろんいつでも例外はありますし、業種によって、企業規模によって違うでしょう。
そして一部の女性(サバイバー)が、少数派の管理職としてバリバリ仕事をしていて、
そんな彼女たちは「チャック女子」(女性のキグルミを着た男性)なんて言われたりして
他の女性社員からは一線を画した存在になっていたりします。
とてもやる気があって優秀だった女性がそのまま頑張り続けて
出産育児で復職したときに感じるジレンマで心が折れる事象も多々ありますが
それ以前に、
それなりの便利な存在としての職場の期待に適応しすぎて
「今さら、そんなハードルあげられても、できませんよ」となっていき
昔は自分より出来なかった同期の男性が、いい感じに経験値を積んで差がついてきて
「やっぱり女はなー」とされてしまう頃に、ライフイベントが重なっていったら…
そこから管理職をめざすには、
いくつものハードルをこれから超えるための
「マインドと能力の筋トレ」をやり直さなくてはならないのです。
「管理職にしてあげるからがんばれ」と言って済むような状況にはないですね。

ほんとうは、そんな手間を掛けずにすむよう「男女関わりなく同じように育成し機会を与えること」が重要なのですが、無意識のバイアスは、案外気が付きにくいものです。

決して、これは今、急に湧いてきたことでも
女性の意識が「短い期間しか続かない」わけでも「優秀じゃなかった」わけでもなく
女性自身が任されないことをいいことに安住してしまったせいだけではなく
それ以上に、いいように甘やかした(期待しなかった)職場側の課題でもあるのです。
管理職にしたいけど、女はやりたくないっていうんだよなー
と思われる方はぜひ、自社のOJTがどのように展開されているのか
見えないカリキュラムが隠れていないかを、検証してみてほしいと思います。
問題は、片側だけに存在するわけじゃないのです。